2021年12月某日、父が亡くなりました。
90近い年齢でしたので覚悟はしていました。
多くの場合、進学、就職、結婚、などの後にやって来る人生の重大イベント「親を送る」は、故人を悼む間もなく葬儀をとり行わなければならず、そしてそれに続く相続の手続きなど一筋縄ではいきません。税理士とか司法書士とかに頼む必要があるのか、全部でいくらかかるのか。
一人っ子のふぶさんは、いつか来る「その日」にきちんと対応できるか、おぼろげな不安を感じていました。
そしてとうとう「その日」は来て、高齢の母を助けて怒涛の葬儀、そしてもろもろの手続き。
さらに無謀にも自力で相続の手続き(相続税申告および登記申請)もしました。
書類のファイルは日に日に厚く重くなり、1冊目の青いファイルは「死亡届」から始まる葬儀・事務手続き編、2冊目の緑のファイルは「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申請書」から始まる相続編になっています。
これらのファイルを改めて見返し、「その日」からの1年間の体験を記録しておきたいと思います。
「その日」からの1年を振り返って
「その日」の第一報から通夜・葬儀・火葬までの怒涛の3日間、そして年金や健康保険などの死亡手続きを1~2週間のうちに行い、四十九日の法要と埋葬をすませれは、とりあえずそこでひと息。
やっと故人をしのぶ余裕ができるのもその頃。
葬儀や法要に関しては、親族、葬儀社、菩提寺、近隣の方々に助けていただきました。
そのあと相続等の手続きは一般的には専門家の手を借りますが、ふぶさんは「できるところまでは自力でやってみよう」と、インターネット等でいろいろ調べとりくんだところ、一応なんとかなりました。
相続税申告の期限が相続発生から10か月以内のところ、6か月で提出でき、まあ上出来だったかなと思います。
うちは比較的シンプルなケースだったからどうにかなりましたが、もし遺産分割でもめたり、農地や山林など評価の難しい不動産があったりしたらお手上げでした。
また、高齢の母一人だったらとうてい無理だったでしょう。
日本では相続登記されないままになっている土地が増え、空き家問題なども起きているそうです。
高齢化が進む中、人ひとりが亡くなって手続きがこれだけ大変なら、無理からぬ話だと思いました。
時系列(第一報から一周忌まで)
第一報から約1年後の一周忌までの大まかな出来事は以下のようになります。
これは単純化していますが実際には試行錯誤もあり、役所等に何度も出向くことになりました。
第一報(病院)
2021年12月某日 未明
・病院から連絡
・病院で死亡診断書発行、葬儀社の決定と連絡
・病院で遺体を清拭
・葬儀社到着、遺体を自宅へ搬送 等
葬儀の準備(実家)
2021年12月某日 早朝~
・市へ死亡届と埋火葬許可申請書提出、火葬許可証受領、火葬場へ提出<葬儀社が代行>
・菩提寺への連絡、葬儀等の日程調整<葬儀社が代行>
・親族等へ連絡
・葬儀業者打合せ(会場設営、お棺・霊柩車、返礼品等の手配)
・枕花等の設置等
・菩提寺へ戒名の依頼
・勤務先(上長)、自治会(組長さん)等への連絡
・弔問客(自治会等)の対応 等
通夜(葬儀会場)
2021年12月某日 翌日
・葬儀費用(内金)の支払い
・葬儀会場の設営、遺体を葬儀会場へ搬送、納棺
・弔問客の受付 等
告別式兼初七日(葬儀会場)、火葬(火葬場)
2021年12月某日 翌々日
・弔問客の受付
・霊柩車およびバスで火葬場へ移動、火葬
・お骨と埋葬許可証の受領 等
死亡手続き(市役所、年金事務所)
2021年12月中旬
・健康保険証の返納
・年金の受給停止および未支給年金請求
・遺族(母)の年金手続き
・死亡一時金・葬祭費等の支給申請 等
費用の清算
2021年12月中旬
・葬儀社へ葬儀費用(残金)の支払い
・病院へ入院費用未納分等の支払い
・家族・親族間の立て替え費用の清算 等
四十九日法要の準備
2021年12月中旬
・菩提寺への四十九日法要の依頼と日程調整・打合せ
・石材店に墓石への戒名等の追記と納骨作業を依頼
・親族等へ連絡・打合せ
・位牌の購入 等
公共料金の名義・料金引落口座変更
2021年12月下旬
・実家の公共料金の名義および料金引落口座を母に変更
(電気、ガス、水道、電話、新聞、ケーブルテレビ等)
預貯金等の名義変更の申請(各種金融機関)
2021年12月下旬
故人名義口座の金融機関(銀行、証券会社、保険会社等)に、
・相続の手続き申請
・(必要に応じ)残高証明書を取得
戸籍等の収集
2021年12月下旬
・故人の出生~死亡までの戸籍収集
・法定相続人(母)の現在の戸籍・住民票(市役所)
・法定相続人(ふぶさん)の現在の戸籍・住民票(コンビニ)
※母のマイナンバーカード申請
※母に電子マネーカード作成、マイナポイント受取
四十九日法要(菩提寺)
相続手続き(相続税の申告等)の調査
2022年2~3月
・市販の本やインターネット(ブログ、Youtube)等で自習
遺産目録(仮)の作成
2022年2~3月
・資産(預貯金、有価証券、不動産等)及び負債(入院費用未納分、葬儀時の費用等)の洗い出し
・死亡時点の金融資産(預貯金+利息、有価証券、生命保険等)の評価
・死亡年度における不動産(実家等)の評価
・総資産額(仮)の算定
相続税の試算
2022年2~3月
・総資産額(仮)に基礎控除、各種特例を加味し相続税を試算
・遺産の分割案を作成し、相続税(二次相続を含む)をシミュレーション
法定相続人の特定
2022年3月下旬
・法定相続情報一覧表を作成
・法務局へ法定相続一覧図の保管及び交付を申出
・法定相続情報一覧図の写しを取得
遺産分割協議
2022年4月上旬
・法定相続人(母、ふぶさん)間の遺産分割案を決定
・印鑑登録(母、ふぶさん)
・遺産分割協議書を作成、法定相続人で押印
預貯金等の名義変更(各種金融機関)
2022年4月下旬
故人名義の口座の金融機関(銀行、証券会社、保険会社等)に、
・必要書類(法定相続情報一覧表の写し、遺産分割協議書等)を提出
・相続人の口座への振込の確認、返却書類の受領
不動産の評価
2022年5月
・不動産(実家等)の評価額を算定するための書類集め
(固定資産評価証明書、登記簿、路線価等)
遺産目録の確定
2022年5月
・死亡時点の金融資産(預貯金+利息、有価証券、生命保険等)の確定
・死亡年度における不動産(実家等)の評価額の確定
・総資産額の確定
相続税の算定、相続税申告書の作成
2022年5月
・総資産額から、基礎控除・各種特例を加味し、相続税を算定
・相続税申告書を作成
登録免許税の算定、登記申請書の作成
2022年5月
・不動産(実家等)の評価額をもとに登録免許税を算定
・不動産(実家等)の登記申請書を作成
専門家に相談
2022年5月下旬
・税務署の無料相談(約1時間の面談)
・法務局の無料相談(約20分の電話)
・民間の税理士事務所の無料相談(約1時間の面談)
・アドバイスに従い、相続税申告書/登記申請書を微調整
相続税申告書提出、相続税支払い
2022年6月中旬
・故人の居住地の税務署へ相続税申告書を提出
・相続税の支払い(銀行窓口)
登記申請書提出、登録免許税支払い
2022年6月中旬
・不動産(実家等)所在地の法務局へ登記申請書を提出
・登録免許税を支払い(申請書に印紙を添付)
新盆の準備
2022年7月
・菩提寺へ連絡・打合せ
・盆提灯、供花、供物等の手配
新盆(実家)
一周忌の準備
2022年10月
・菩提寺へ連絡・打合せ
・卒塔婆、供花、供物等の手配
・親族へ連絡
一周忌(菩提寺)
今後の投稿記事(予定)
本ブログ「相続体験記」カテゴリでは、「その日」からの1年間の体験に基づき、わかりにくかった点や、やっておいてよかったことなどを掘り下げて記事を投稿していこうと思います。
※本記事では、固有名称は伏せつつ、できるだけ正確な記載に努めていますが、時期や地域等で事情は異なります。あくまでも一個人の事例と認識ください。
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