相続財産を洗い出したら、相続人の間で遺産をのように分けるかを決める必要があります。
また相続税の申告と納付が必要な場合、相続人の間で遺産をどう分けるかで相続税の金額も大きく変わってきます。
ふぶさんの場合も、母と自分の取り分を決める必要がありました。
遺産分割の方法(遺言書、遺産分割協議、法定相続分)
こんにちは、ふぶさんです。
遺産相続は、遺言があればその指示に従います。
遺言がない場合は、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)で決定します。
奥さんが半分、残りを子供たちで等分に分けるんだと思ってたけど…。
つまり、波平さんの遺産はフネさんが2分の1、サザエさん・カツオ・ワカメで各々6分の1と。
民法で定められた「法定相続分」がその割合なのですが、あくまでも法定相続分は目安であって、相続人同士で合意があれば、どのように分割してもよいということのようです。
相続人同士で利害が対立し、遺産分割協議がまとまらない場合、弁護士など第三者に入ってもらい、それでもまとまらなければ、家庭裁判所に申し立て、調停や審判によって遺産分割をします。
このあたり調べていると、いかにドロドロの相続争いがあるのかうかがえます。
旦那さんが亡くなり家が相続の対象となって奥さんが追いだされることのないよう「配偶者居住権」がみとめられたり、長男の嫁がずっと老親を介護してきたのに相続の権利はないのは不公平として「特別の寄与の制度」がみとめられたり。また、被相続人を虐待したり非行があった者の相続権を失わせる「相続排除」があったり、相続人に行方不明者がいる場合の「失踪宣告」があったり…。
かの「犬神家の一族」も、「孫3人の誰かとの結婚を条件に、珠代さん(血縁なし)に財産を譲る」 なんて、セクハラ遺言書を残さなければ、あんなもめごとになってないですよね。
現代なら、犬神家の法定相続人は、娘3人(松子、竹子、梅子)と行方不明の一人息子(静馬)。法定相続分はそれそれ4分の1。孫達(スケキヨ、スケタケ、スケトモ)はいずれ娘3人(松子、竹子、梅子)の遺産を相続する。
犬神家も法定相続分で分割するのが一番まるくおさまる方法だったような気がします。
亡父の場合、遺言はないので、相続人である母とふぶさんの2人で相談して決めることになります。
法定相続分なら、2人で半分ずつです。
80過ぎの母は、自分は年だからアンタが全部相続すればいい、と言いましたが、そうしてしまうと相続税が高くついてしまう可能性があったのです。
相続税が軽減される控除と特例
相続税は、基礎控除以外にも、条件により一定の額が差し引かれる控除や特例があります。
控除には以下のものがあります。
下の3つは、控除というか、既に払った税金を2重に払う必要はないって話なだけで、そりゃあたりまえちゃうんかーい。
うちの場合、未成年や障碍者の相続人はいませんが、母に「配偶者控除」を適用することが可能です。亡父の遺産から母が相続する分には相続税がかかりません。
父の遺産をすべて母が相続すれば今回の相続税は0円にできます。しかし、いずれ母が亡くなりふぶさんが相続する時に相続税がドーンとかかってくるので、母の相続(二次相続)の際の相続税とあわせて考慮する必要があります。
また、自宅や事業に使っていた土地が80%又は50%減額される「小規模宅地特例」があります。
利用区分 | 上限 面積 | 減額 割合 | 相続する人 | 条件 |
被相続人が住んでいた宅地 | 330㎡ | 80% | ①配偶者 | なし |
②同居親族 | 土地を所有し住み続けること | |||
③持ち家がない親族 | 申告期限まで土地を所有し続けること | |||
事業を営んでいた事業用宅地 | 400㎡ | 80% | 親族 | 事業を引き続き続ける場合 |
貸付事業用の宅地 | 200㎡ | 50% | 親族 | 3年以上貸付事業を継続していて、今後も続ける場合 |
うちの場合、実家(土地)を母が相続する場合には「小規模宅地特例」が適用できます。
路線価×面積で計算する評価額に応じた税金がかかるところ、母が相続するならその評価額を80%下げてよい(つまり2割の評価額)ということになります。
持ち家に夫婦で安住していたのに、旦那が亡くなっって奥さんに相続税ガッツリかかったらあんまりですもんね。
複数の分割パターンで相続税をシミュレーション
相続では配偶者が優遇されることが多いので、母とふぶさんの取り分を何パターンか場合分けしたうえで、父の相続(一次相続)の相続と、いずれ発生する母の相続(二次相続)の相続税を試算し、相続税の合計が最も少なくなる分け方を探しました。
結果から言うと、母が実家を相続し、ふぶさんがその他の資産(預貯金、有価証券など)を相続することにしました。
父の遺産相続(一次相続)と、将来の母の遺産相続(二次相続)の相続税の合計が少なくて済みそうという理由もありますが、父と母が長年住んだ実家はやはり母が相続するのが妥当と感じたからです。
相続税については、また後の記事でくわしくお話ししたいと思います。
※本記事では、固有名称は伏せつつ、できるだけ正確な記載に努めていますが、時期や地域等で事情は異なります。あくまでも一個人の事例と認識ください。
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