相続手続きを始めていきなり当たる壁、被相続人(故人)の「出生から死亡までのすべての戸籍」の収集。普通に役所で戸籍謄本を取得するのとどう違うのでしょう。
出生から死亡までの戸籍とは?
こんにちは、ふぶさんです。
故人の銀行口座の解約と払い戻しをしようとすると、どこの銀行でも、必要書類として「被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(改製原戸籍、除籍謄本など)と相続人全員の戸籍謄本」または「法定相続一覧図の写し」が求められます。
この「または」のうしろの「法定相続一覧図の写し」を得るには、「被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(改製原戸籍、除籍謄本など)と相続人全員の戸籍謄本」が必要です。
つまり、いずれにしろ戸籍を集めることが必須ってことですね。
はい、いきなり壁にぶち当たります。
「被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(改製原戸籍、除籍謄本など)」って何?
普通に役所で戸籍謄本を取得するのと、どう違うのでしょう?
法定相続人
そもそもなぜ出生から死亡までのすべての戸籍が必要かというと、戸籍謄本だけでは全ての「法定相続人」が確認できないからです。
遺産相続では、遺産を残した人を「被相続人」、遺産を相続する側の人を「相続人」と呼びます。
遺言書がある場合は遺言書に書かれた相続人や相続割合が優先されますが、民法で定められる「法定相続人」は、配偶者と血族で相続の順番が以下のように決められています。
サザエさん家で波平さんが亡くなった場合の法定相続人は、配偶者のフネさん、実子のサザエさん、カツオくん、ワカメちゃんの4人です。
サザエさんが法定相続人となるので、孫のタラちゃんは法定相続人ではない。
また波平さんに直系の子(サザエ、カツオ、ワカメ)がいるので、傍系である双子の兄弟の海平さんや甥のノリスケさんは法定相続人ではない。
もし、波平さんがフネさんとは再婚で前妻との間の子供がいたり、愛人との子供を認知していたりしたら、その子供も法定相続人となり、サザエ・カツオ・ワカメと同じ権利があります。
うちの場合、法定相続人は配偶者である母と一人っ子のふぶさんの2人で、父の兄弟姉妹や甥姪などは対象外になります。
しかしもしかしたら、内緒で隠し子がいた可能性もゼロとは言い切れません。
あんの超クッソ真面目な父に隠し子なんていたはずもないんですけど、手続きには証拠が必要といわれれば、それもしかたありません。
昔は子だくさんで、また連れ合いに先立たれ再婚することも珍しい話ではなかったので、高齢者が亡くなって相続人探しに苦労するケースは多いそうです。
法定相続人を漏れなく確認する書類≠戸籍謄本
よって、法定相続人を戸籍謄本などで確認する必要があるのですが、戸籍謄本にすべての血族が載っているわけではないのです。
どーゆーコトでしょう?
多くの人は、生まれたとき親の籍に入り、婚姻で親の籍を抜け新居の地で新たな籍に入ります。
また一家で移住先に籍を移す場合もあります。
なので、多くの場合、人ひとりの出生から死亡までには複数の籍に属します。
ふんふん、それはまあわかります。
そのうえ、日本の戸籍は昭和32年及び平成6年の法改正で戸籍の改製が行われ、その時点で戸籍に在籍する人のみが転記されました。つまり改製後の戸籍謄本では、それより前に婚姻や養子縁組等で除籍された人は確認できない、ということになったようです。
したがって、被相続人の戸籍に記載された人を漏れなく確認するためには、出生から死亡までつながるすべての戸籍謄本(改製原戸籍、除籍謄本など)を取得する必要があります。
改製原戸籍とは、法改正で書き換えらえる前の戸籍の写しです。
除籍謄本とは、所属する家族全員がすでに死亡や結婚で籍を抜け、誰もいなくなった戸籍です。
それって行政側の都合ですよね??
人が亡くなったらみな、遺族がそれらの書類を全部集めてまわるのです。
なんと非合理的な…。
言いたいことをグッとこらえ、戸籍を集めます。
出生から死亡までの戸籍の取得
出生から死亡までの戸籍は人それぞれ異なるので、ふぶさんの父の例を説明します。
まずA市(実家の所在地)の市役所の戸籍課へ行き、相続のため父の出生から死亡までの戸籍がほしい旨を伝えると、父母の戸籍の謄本と、そこからさかのぼれる以下の書類をだしてくれました。
はい、ここでA市の市役所では、祖父一家がK町から転入してくる前の戸籍については、K町の役場で調べるように、とのこと。
…マジっすか。
仕方がないので、母と電車とタクシーを乗り継いで、K町役場へ。
K町役場では、祖父一家がK町に住んでいた頃の戸籍(除籍謄本)を出してくれました。
つまり祖父一家は、昭和Y年にA市からK町へ移転し、昭和X年にまたA市へ戻ったのです。
はい、ここでF町役場では、K町にくる前の戸籍についてはA市役所で調べるように、と言われます。
うん。
…予想はしていましたけどね。
もうその日は、またA市へ戻ったら日が暮れてしまうので、日を改めてふたたびA市役所へ
A市役所では、K町の除籍謄本からさかのぼって、祖父一家がK町へ転出する前の戸籍(除籍謄本)を出してくれました。
これで出生から死亡までにつながるすべての戸籍謄本(改製原戸籍、除籍謄本など)が集まりました。
父は、A市で生まれて祖父母の籍に入り、いっとき一家でK町へ移転、またA市へ戻りました。
そして母との婚姻で祖父母の籍を抜けA市で入籍、その籍のままA市で死亡したのです。
たらい回って、コンプリート!
その経歴も登場人物(祖父母、父の兄弟姉妹、母、子)も以前から認識していた通りで、知らない血族の存在とかはありませんでした。
結局、この書類を集めるのに、平日の2日をつかってA市役所とK町役場へ出向きました。
1通につき数百円の手数料がかかりますし、移動の交通費もかかります。
郵送での取得も可能とのことですが、この複雑な書類を郵送で集められる気がしません。
専門家にお金を払って代行を依頼するという手もありますが、自分ちの戸籍を取るのに専門知識が必要なのかというと、それもおかしな話だと思います。
いやマジで合理化してください。
各市町村の戸籍データを共有すりゃいいだけなのでは?
相続人全員の戸籍謄本の取得
父の出生から死亡までの戸籍によって家族構成が明確になり、法定相続人がやはり母とふぶさんの2人だけだということが確認できました。
お次は、相続人全員の戸籍謄本の取得。
これはわかりやすい。
母の戸籍謄本は、実家のあるA市の市役所で取得。ふぶさんの戸籍謄本は、現在住んでいるB市の市役所で取得しました。
しかし世の中には、交流がないとか行方がわからないとかで、法定相続人全員と連絡を取るのが容易ではないケースも結構あるようです。
世の相続人の皆さん、本当にお疲れ様です。
※本記事では、固有名称は伏せつつ、できるだけ正確な記載に努めていますが、時期や地域等で事情は異なります。あくまでも一個人の事例と認識ください。
コメント